中央区の図書館問題

2022年12月11日

陳情の提出

せっかく出された請願も取り下げになり、「区長への手紙」を通じて区・図書館・教育委員会に求めていた情報提示も音沙汰なし、その間に中央区は条例改正など、どんどん図書館を変えることだけは進めていました。一区民としてもやれることには、何があるかを模索していました。

ひとつとして、請願もしくは陳情を出すことですが、請願は区議会議員の紹介を要するので時間的なことや手間がかかり厳しいことと、陳情の方がすぐに区議会HPにのり、見る人の目に触れやすいこともあって、陳情を選びました。

陳情は受理されると、区議会のHPに以下のように掲載されます。「受理番号7番」です。このような試みも初めてでしたが、件名を見ただけで内容がわかるように長いタイトルを付けました。

陳情の件名
区議会HPより(陳情の件名)

自治体によって、請願と陳情の扱いは異なり、区別をしないところもあれば、区別しても同等に扱うところ、区別して陳情の扱いは軽いところなどがあるようです。中央区は、一番最後の例みたいです。

請願と陳情について
区議会HPより(請願と陳情について)

提出した陳情は、連休明けに会派幹事長会に出され、一般的には関係する(この件は区民文教委員会であろう)委員に写しが行くくらいの扱いみたいです。認識はされるだろう、程度でしょうか?

区議会HPに件名が載ったのが、5月8日、折しも「図書館への指定管理者募集」の案内が区のHP(のわかりにくいところ)に載った日と一緒の日でした。提出した陳情の文章は以下の通りです。

中央区の図書館に指定管理者制度を導入することありきの現行スケジュールを中止し、早期に公募の区民や客観的な視点を持った外部専門家を入れた、透明で公正な「図書館の運営に関する検討会」を開催することを求める陳情

趣旨 現在中央区では、本の森ちゅうおう(仮)が開館するのに伴い、この新図書館および現在の京橋図書館に対して、また日本橋図書館、月島図書館などに指定管理者制度を導入しようとしているようです。私たちの社会の民主主義を支える場であり、知る権利を保障してくれる図書館。とても大切なものです。その大事な図書館を運営する方法については、拙速になることなくじっくり検討していくことが必要です。私自身の考えは、直営ありきではないですが、何にしろ区民等に決定のプロセスが見えないこと、決定への検討内容が見えないことが、一番大きな問題であると考えています。図書館および図書館行政にとって、まさに自己矛盾でしかありません。まずは、指定管理者制度の導入が前提のしくみ・スケジュールはすべて止めて、区民や専門家を交えた運営に関する検討会を早急に開設し、色眼鏡をかけることなく一から議論・検討していくことが必要と考えます。議論のプロセス、中身は当然ガラス張りにします。
今、議会で決まったことは、必要なら指定管理者制度も導入できる、という外枠の部分でしょう。選択肢が広がったと考えれば、これから運営方法を幅広く検討していけばよいのです。
もし、このままでは、せっかくの新しい図書館がみんなにとって祝福されるものにならないと思い、陳情した次第です。

理由 
1.区、教育委員会のこの間行ってきたことは、情報公開もせず、プロセスも、検討内容も区民には見えません。数々の指定管理者制度に対する心配に対しては、パブリックコメントでも「区長への手紙」でも、私以外の人に対する回答においても「多角的に検討」などとしか回答してきませんでした。このように考えて、こういう方針で行こうと考えています、などと正面から言ってこなかったのはなぜでしょうか? 後ろめたいことがないなら、また自信を持って導入というなら、その決定へのプロセスを明らかにして、理由の詳細も公開すべきでしょう。一番近々の「区長への手紙」に対しても、提出したのが2月。2か月もの間ほうっておいて、4月に回答を出したと思ったら、回答の中身が薄いものでした。

2.教育委員会の会議録もざっと見てみましたが、指定管理者制度というか、図書館の運営方法を議論した様子が見られません。資料の部分が公開されていないので(資料も秘密のもの以外はWebでも見られるようにしてほしいです)全体像がわかりませんが、教育委員会は学校教育が話題の中心なのか、図書館のパブコメや、区民等の「意見・要望」にも委員の質問や反応が薄いように見えてしまいます。そしていきなり、条例改正の話がでてくる不思議な会議録です。

3.区議会、区民文教委員会などは機能していますか。議事録が公開されていませんので、詳しいことはよくわかりせんが、外枠の法律改正についても活発な議論が行われたということが聞こえてきません。もし議論していないのなら、議論し直して下さい。

4.導入の理由として伝わってくるわずかな部分への疑問です。ひとつはコスト削減(お金の面での効率的な運営)です。基本的に無料であり収益事業でない公共図書館には、そもそも指定管理者制度はなじまない、とは私が関係者に聞いてもよく言われています。
また新しい観点もあります。確か、新図書館の設計業務委託に関わったと思われる株式会社図書館総合研究所などは、そのホームページでも読める「政策を見る眼」という大学院の先生の連載を行っています。読むべき論考が多いですが、例えば、「同一労働同一賃金の時代では非正規職員の待遇見直しが避けられず、これは地方自治体の財政や指定管理者制度のコスト等にも影響を与える」という論考があります(宮脇淳先生、83号)。指定管理者制度や委託などを採用しても、これまでのようにコストが削減できるとは限りません。

5.23区でも導入館が増えていると言いますが、すべての館をもしくは中央館を指定管理者制度にしているところは多くないです。今は、直営、委託(部分、全面)、指定管理者等々、選択できることがいろいろありますので、メリット・デメリットを出し尽くして、多面的に検討していく必要があります。館長を公募、レファレンスのところを専門家である司書を正規職員として長期的に安定させ、新たな採用(教育しながら、もしくは実績ある人を採用することなども)を組み合わせるなどもあり得ます。
私自身は、今の区の図書館に欠けている部分は、情報公開の少なさ、発信力のなさ、と思っていますが、今の区・教育委員会がきちんと管理するからといっても、説得力がありません。

6.導入のプロセスがよくないです。千代田区は、確か全面指定管理者制度ですが、導入にあたっては、「有識者、出版・古書店等外部関係者、区民等からなる検討会を設置し、意見聴取をしながら進め、その後、メリット・デメリットを比較検討するため、図書館関係者、有識者等からなる外部検討会を設置したうえで」決定しています。また、いろいろと問題も起きている練馬区でも、「これからの図書館構想」では、検討委員会で学識関係者3名、図書館関係等団体推薦者5名、公募区民3名で募集をかけていました。ほかでも、図書館協議会を利用したりなど、プロセスには時間と手間をかけています。

7.最後にあげたいのは、今の状況からの視点です。新型コロナ感染症が猛威を振るっていますが、今の時点でもいろいろ考えさせられます。医療、ICU、ベッドの数、基礎的な研究、科学研究、また文化への支援等々、これらにお金をかけていなかったところ削減してきたところは、なかなか厳しいものがあります。
働く人の視点からみても、必要以上に非正規雇用、契約社員等を増やしてきたつけは、本人は言うまでもなく、社会にとって、経済にとっても打撃が大きいものです。収束まで全力を尽くした後、ポストコロナを考えた社会体制を考え構築していくべきです。図書館も継続性、安定性が確保される運営方法がのぞまれます。

                                                2020年4月30日

Posted by socialtask