中央区の図書館問題
区議会での図書館設置条例改正の可決(その2)
2月14日の区民文教委員会に、教育委員会そして庁議を経た図書館に指定管理者制度を導入するとの考えと条例改正案が示されます。教育委員会の中でも図書館の運営についての議論がないまま急に物事が動き出したように、区民文教委員会でも会議録を見る限りでは、過去、図書館については、特にこのような話や調査などをしている様子が見当たりません。
会議録はここで見ることができます。長いので、ここでは要約だけをします。
私は、会議録が公開される前には、あまり質疑もないまま進んだのではないかと思っていましたが、公開されたものを見ると、それなりには質疑が委員によって行われています。出席者委員は、以下の通りです。

質疑の概略は、およそ以下のものかと思います。
- 導入の理由は? サービスの低下はあり得るか? →業務量が増えるので、区と民間のできることを役割分担する。運営ノウハウを活用できる。利用者満足度も高いと聞いている(データは示されず)
- 資料の収集・廃棄の問題は? →地域資料室は区が携わる。他も複数の目で確認する。
- 導入のメリットとデメリットは? →メリットは柔軟な運営体制(開館時間開館日の拡大、さまざまな事業など)。選書と廃棄の問題があるが、これは区が行う。
- 学習コーナーと閲覧コーナーのそれぞれのサービスは? →利用者ニーズに応える。パトロールも行う。予約席を設ける。
- 司書(レファレンス)サービスの低下は? →十分な引き継ぎ期間を設ける。検索システムを利用、レファレンス内容をデータ化して積み重ねる。
それなりのポイントは質疑されていますが、疑問点は浮かびます。
- 報道や区民の心配に配慮しての質問もあったが、そもそも根本から区民等に意見を聞かずに導入しようとすることへの意見や質問がない。報道や地域の区民から聞いていることは、部分にすぎないのではないか。
- このとき、導入反対の請願はされている(あとの記事でも触れるが、後日取り下げされたのではあるが)状態であるはずだが、それへの言及が全くない。委員会付託案件ではないのか。
- そもそもメリット・デメリットの議論が少ない。資料、報告書などの積み上げがないしここでも示されていないので、一部の問題点だけで質疑が進んでいる。
- 経費の問題が出てこない。
- 働く者のことが出てこない。区職員の削減になっても、外部化されるだけで、ワーキングプアの問題が生じることもありうる。他の自治体では、指定管理者業者で働く者の賃金・離職率なども示されているが、それらへの言及がない。
- 持続性、安定性の議論がない。
- そもそも「図書館」への哲学、思想が語られていない。
追加 山本区長の所信表明
ここに、本会議初日の2月28日に行われた、山本区長による所信表明を追加します。
図書館に関連した部分のみ引用します。「行政運営のさらなる効率化を目指して」として…
以上、施策の基本認識と主要事業について申し述べましたが、ますます増大し多様化する区民ニーズに的確に対応していくためには、社会環境の変化に即応した効率的・効果的な行財政運営に一層努める必要があります。
AIやRPAなどICT技術を活用した生産性向上の動きが社会全体で進む中、スマートフォンなどを利用した行政サービスへの区民ニーズに応え、マイナンバーカードの活用促進や行政手続きのオンライン化推進など利便性向上に向けた検討を進めるとともに、情報セキュリティ対策に万全を期し、行政運営のさらなる効率化を目指して業務改善に取り組んでまいります。
また、公共施設等総合管理方針に基づく個別施設計画を策定し、既存公共施設などの改修・更新における長寿命化、将来コストの低減や平準化を図り、維持管理経費の適正化に努めます。検討中の新本庁舎の整備については、これまでの検討委員会での議論やご意見を踏まえるとともに、まちづくりの動向も慎重に見極めながら、具体的かつ実現性の高い整備案の策定に向け、調査・検討を深めてまいります。
現在建設中の「本の森ちゅうおう」を含む区立図書館においては、指定管理者制度導入に向けた準備を行い、幅広い利用者のニーズに応える充実したサービス提供体制を整えます。
良質な行政サービスを提供していくために、将来にわたり安定した財政基盤を確立するとともに、民間活力の活用、区民や事業者との協働、官民連携など、より効果的な手法を常に模索し、持続可能な行財政運営に努めてまいります。(中央区HPより)
このように、最後のところで、「図書館に指定管理者制度を導入する準備を行う」、とはっきり表明しました。
そして、本会議3月2日の一般質問では、おぐり議員が質問にこの問題をとりあげています。区議会HPでは要旨だけの公開となっています。

その後、3月5日の区民文教委員会で、導入するための図書館設置条例改正案が議題となり、この時は委員の質問もなく全員起立で可決しました。わずか11分の委員会でした。ちなみに、小坂議員、日本共産党の議員はこの委員会の委員ではありませんでした。
よって、採決前にはおぐり議員の委員外議員発言がありました。


そして、本会議3月30日の採決となります。結果は、会派ごとに集約されますが、わずか3名と思われる反対、つまり賛成多数で「中央区立図書館設置条例の一部を改正する条例」は可決しました。これで、指定管理者を導入できることになりましたが、以後、区はつき進むことになります。
