デジタル教科書について
ICT教育に関係して、2024年度からの小中学校でもしかしたら本格的に使われるデジタル教科書のニュースが、朝日新聞に出ていました。3月17日のことです。記事にあるように、文部科学省は有識者会議の中間提言をこの日公表しています。この提言については、18日からパブリックコメントを実施するとのことです。朝日新聞の記事は、いろんな観点からの情報が書かれていて、ある程度バランスのとれたものでした。
実は、この記事にも出ています、「ITへの過度の依存を戒め、印刷メディアとのバランスのとれた学校教育を実現し、併せて読書機会の環境整備を考える」、立場からの集まりに私も行ってきました。「学校教育のデジタル化・子どもの未来」と題した、リレー講演でしたが、主催は「活字の学びを考える懇談会、文字・活字文化推進機構」です。関係顧問の、細田博之、河村建夫、笠浩史・各衆議院議員やほか10名前後の衆議院・参議院議員も同席した集まりでした。講演は、樋口進・国立病院機構 久里浜医療センター院長の「ゲーム・ネット依存の現状と今後の課題」と川島隆太・東北大学教授 加齢医学研究所所長の「スマホ脳と子どもの学力」で、資料が豊富ながらコンパクトにまとめられたお話2つがメインでした。
簡単に言うと、前者は、ITを進めるについての負の面、そしてそれへの対応についての講演。後者は、コロナ下で多く行われたようなWeb会話では他者との脳の同調が生じないこと、スマホを1時間以上使う児童・生徒は学力が上がらない、子どものインターネット使用が増えると脳に影響が出る(大脳白質が発達しない)、大学生になっても脳の働きを抑制してしまうことなどを脳科学からの実証研究で示した話でした。「GIGA構想でマストでやることは、1時間未満で道具としてどう使いこなすか(使われるのではなく)であろう」というような話もありました。
ここらへんは、また別の機会に詳しく紹介できたらと思います。ほかに山口寿一・新聞協会会長(読売新聞社長)と矢幡秀治・日本書店商業組合連合会会長の2名の出席者のコメントから印象に残った情報は、よく言われることですが「ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなどは自分の子どもには機器を使わせなかった」、「デジタル教科書は韓国は全面実施ではないこと、オーストラリアは5年使った後にもとに戻したこと」、「お金の問題(膨大な資金がいる)があること」、「実証研究をもっとすると言うが、失敗は許されないこと(子どもは実験台ではない)」、いろいろな検証から見えてきたことは、「記憶・知識を定着させること、間違いを見つける(校正する)こと、深く考えることの3つは紙が優れるのではないか」等々でした。最後に、阿刀田高・活字の学びを考える懇談会会長は、「旅の話で乗り物を利用することと歩くことの違い」や「エドガー・アラン・ポーの『マージナリア(本の余白に書き込まれたもの)』の話」などをしました。
私も、ICT、デジタル機器、無線機器等の過度な使用は、大人でも問題と思います。ましてや、発達段階を考えた使い方・使わせ方が求められるべきでしょう。
追伸 文部科学省のパブリックコメントが開始されました。意見はこちらから。締め切りは、4月4日です。メールでも送ることができます。
読売新聞では、これに関しての記事が多いようですが、全国の市と東京23区の教育委員会にインターネット調査をしたものがありますので、リンクしておきます。「42%が効果の検証に3年以上はかかる」、という結果が出ているとのことです。